この2年間、自分たちの問題として考えなくてはいけなかった東日本大震災に関係した
写真展『東日本大震災』、『原発を考える』を開催してきました。今年度は、何をと考えてい
たとき、「鬼海弘雄さんの写真が観たい」と仲間からの意見があり、幅の広いドキュメン
タリーフォトの違う流れの写真をとお願いすることになりました。
私が今回の『PERSONA』の肖像写真を最初に拝見したのは何時であったかは忘れま
したが、『東京ポートレート』というタイトルで月刊写真誌に掲載されたときと記憶してい
ます。スナップ写真で人物を撮影することが好きだった私は、モノトーンの写真のすごさ
に感心したものの、写真が含み持っている深みまで読み取ることはできませんでした。
その後、写真展で現実に作品に接して、写っている人達の表情の違いや構える姿勢の
多様さなど、カメラのレンズに向かって伝えようとされる被写体の各々の思いみたいなも
のを感じることができるとともに、モノトーンの諧調に魅せられました。
また、実行委員会の先輩は「この写真は、写真を読みとるのではなくて、その人の人生
を読みとらなくてはいけないね」と言われましたが、私も本当に「そのとおりだ」と思いま
した。
6月に、ご自宅近くの川崎市登戸で初めてお会いした鬼海弘雄氏は、本当に気さくな方
で、撮影をしていらっしゃる浅草、インド、トルコで感じたことや暗室作業など幅広いお
話を聞かせていただき、本当に楽しい時間を過ごさせていただきました。
どうぞ、40年に及ぶ鬼海弘雄氏の≪人≫との出会いの重なりから作り上げられた
『PERSONA』の世界を感じとっていただけましたら、この写真展を開催する喜びを感じ
ることができると考えています。
2013年8月27日
「ドキュメンタリー フォトフェスティバル宮崎」実行委員会
事務局長 永友啓一郎